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「相続を受け取らない」と「相続放棄」は全然違う?知らないと損する相続の基本

2026.03.31

家族が亡くなったときの相続の基本

相続とは何か

相続とは、亡くなった人が持っていた財産や権利、そして義務を家族などが引き継ぐことです。

例えば、預金や家、土地などはわかりやすい相続財産です。
しかし実は、相続には借金やローンなども含まれます。

つまり相続とは「プラスの財産だけをもらう制度」ではありません。
良いものも悪いものもまとめて引き継ぐ仕組みなのです。

たとえば父親が亡くなったとき、銀行預金が500万円あったとします。
一方で借金が300万円ある場合、この両方が相続の対象になります。

このため相続では、「もらうかどうか」を慎重に考える必要があります。
財産が多いなら問題ありませんが、借金が多い場合は注意が必要です。

ここでよく出てくるのが「相続を受け取らない」という言葉と「相続放棄」です。
この2つは似ているようで、実はまったく違う意味を持っています。

相続人になる人は誰?

相続では、法律で決められた「相続人」が財産を受け取ります。

まず基本になるのは配偶者です。
配偶者は必ず相続人になります。

そして血縁関係によって順位があります。

第1順位
子ども

第2順位

第3順位
兄弟姉妹

例えば、亡くなった人に子どもがいる場合は、親や兄弟には相続権がありません。
子どもがいない場合に、親が相続人になります。

このように法律で順番が決まっているため、「自分は関係ない」と思っていても相続人になることがあります。

そのため、相続の話が出たときは自分が相続人かどうかを確認することがとても大切です。

相続ではプラスもマイナスも受け継ぐ

相続で意外と知られていないのが、借金も相続されるということです。

例えば次のようなものも相続の対象になります。

・住宅ローン
・消費者金融の借金
・クレジットカードの未払い
・保証人の責任

もし亡くなった人に借金が多かった場合、相続人が返済しなければならないケースもあります。

そのため、相続では「財産がどれくらいあるのか」だけでなく、「借金がどれくらいあるのか」も確認する必要があります。

このときに「私は財産はいらない」と言う人もいます。
しかし、ここで大きな勘違いが起こることがあります。

実は「財産を受け取らない」と言っても、法律上は相続をしたことになる場合があるのです。

この違いを知らないと、あとから借金の請求が来ることもあります。

「相続を受け取らない」とはどういう意味?

遺産をもらわないという選択

「相続を受け取らない」と言うと、多くの人は「相続放棄と同じ」と思っています。
しかし実際には違う意味で使われることが多い言葉です。

多くの場合、この言葉は「遺産をもらわない」という意味で使われています。

例えば兄弟が3人いる場合、次のような話し合いをすることがあります。

長男が家を相続する。
次男と三男は何も受け取らない。

このとき次男と三男は「私は相続を受け取らない」と言うことがあります。

しかし法律上は、これは相続放棄ではありません。

ただ単に「遺産分割で自分の取り分をもらわない」という意味なのです。

つまり相続人であることには変わりがありません。

この点がとても重要です。

遺産分割協議での辞退

家族が亡くなると、相続人同士で「遺産分割協議」という話し合いをします。

この話し合いでは、誰がどの財産を受け取るかを決めます。

例えば次のようなケースです。

・長男が家を相続
・長女が預金を相続
・次男は受け取らない

この場合、次男は相続人ですが、遺産をもらわないだけです。

このような形は実際によくあります。
特に「家は長男に任せる」という家庭では珍しくありません。

しかし、この方法には注意点があります。

それは「借金の責任が残る可能性がある」ということです。

遺産を受け取っていなくても、法律上は相続人だからです。

実は借金の責任は残る

遺産を受け取らなかったとしても、相続人である以上は借金の責任が残る場合があります。

例えば次のようなケースです。

亡くなった父親に500万円の借金があった。
相続では兄がすべての財産を受け取った。
自分は「何もいらない」と言った。

この場合でも、法律上は相続人です。

そのため、借金の返済を求められる可能性があります。

特に金融機関などは、相続人全員に請求することがあります。

つまり「財産はいらない」と言っただけでは、借金から逃れることはできないのです。

これが「相続放棄」との大きな違いになります。

相続放棄とはどんな制度?

家庭裁判所で行う正式な手続き

相続放棄とは、法律で決められた正式な手続きです。

単に「いりません」と言うだけでは成立しません。

相続放棄をするには、家庭裁判所で手続きをする必要があります。

必要な書類を提出し、裁判所に認めてもらうことで成立します。

この手続きをすると、法律上は「最初から相続人ではなかった」という扱いになります。

つまり、財産も借金も一切引き継ぎません。

この点が「遺産を受け取らない」との大きな違いです。

借金のリスクがある場合は、この制度を利用する人が多くなります。

相続人ではなかったことになる

相続放棄が認められると、その人は法律上「相続人ではなかったこと」になります。

これは非常に強い効果です。

例えば次のようなケースです。

父親に1000万円の借金があった。
子どもが相続放棄をした。

この場合、その子どもには借金の支払い義務はありません。

また、財産を受け取る権利もなくなります。

つまり完全に相続から外れるということです。

そのため、借金が多いとわかった場合は相続放棄を選ぶ人も少なくありません。

手続きには期限がある

相続放棄には期限があります。

基本的には、相続があることを知ってから3か月以内です。

これを「熟慮期間」といいます。

この期間内に判断して、家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。

もし期限を過ぎてしまうと、原則として相続を承認したことになります。

つまり借金も引き継ぐ可能性が出てきます。

そのため、相続の話が出たら早めに財産や借金を調べることが大切です。

「受け取らない」と「相続放棄」の大きな違い

借金の扱いが大きく違う

「相続を受け取らない」と「相続放棄」の一番大きな違いは借金です。

受け取らないだけの場合
→ 相続人のまま

相続放棄
→ 相続人ではなくなる

この違いによって、借金の責任が大きく変わります。

借金がある可能性が少しでもある場合は、この違いを理解しておくことがとても重要です。

手続きの場所と方法の違い

もう一つの違いは手続きです。

受け取らない場合
→ 家族の話し合い

相続放棄
→ 家庭裁判所

つまり、相続放棄は法律の手続きになります。

そのため書類や期限などのルールがあります。

簡単に言うと、正式な手続きをしないと「放棄したこと」にはならないということです。

将来のトラブルへの影響

相続では、あとからトラブルになるケースもあります。

例えば、数年後に借金が見つかることもあります。

もし相続放棄をしていなければ、その借金の請求が来る可能性があります。

しかし相続放棄をしていれば、請求されることはありません。

そのため、財産の状況がはっきりしない場合は、専門家に相談することも大切です。

相続放棄を考えるべきケース

借金が多い場合

亡くなった人に借金が多い場合は、相続放棄を検討することがあります。

例えば、財産が100万円しかないのに借金が1000万円ある場合です。

このまま相続すると、900万円の負担になります。

そのため相続放棄をすることで、借金を引き継がないようにします。

財産状況がわからない場合

財産や借金の状況がよくわからない場合も注意が必要です。

例えば次のようなケースです。

・長年連絡を取っていない親
・事業をしていた親
・借金の噂がある

このような場合、後から大きな借金が見つかることもあります。

そのため慎重な判断が必要になります。

親族トラブルを避けたい場合

相続はお金が関わるため、家族のトラブルになることもあります。

「財産はいらないから関わりたくない」という理由で相続放棄をする人もいます。

相続放棄をすれば、相続手続きから完全に外れることになります。

そのため、相続争いに巻き込まれにくくなります。

相続は人生で何度も経験するものではありません。

だからこそ「受け取らない」と「相続放棄」の違いを知っておくことが、とても大切なのです。

もし不安がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。